
みなさんは、伊東屋プレミアムレザーシリーズという手帳があることをご存じだろうか。
簡単に言ってしまえば、伊東屋と手帳メーカーとのコラボレーション手帳である。
中の手帳本文は、各手帳メーカーの人気品番を使用している。
驚くべきは、表紙。なんと表紙が全て革張りなのである。毎年買い替える手帳に革を張ってしまうとは、何とも贅沢な品物だ。
表紙以外にも、コバに銀箔を貼り、高級感をプラスするとともに耐久性を増したり、専用の巾着袋を付属させたりと、非常に充実したつくりになっている。
このプレミアムレザーシリーズがどのように誕生したかというと、はじまりは2009年。
当時の手帳バイヤーの、「伊東屋ならではの高級なビジネス手帳が作りたい」という想いから、手帳メーカーさんに話をもっていき、苦労の末ようやく実現した商品だ。
手帳はだいたい1年使い切りのものが多いが、その表紙に贅沢に本革を貼りこんでいる。革は北米産の牛革で、傷の無い部分を選定している。張り込み作業は全て手作業で、すっきりとしたフォルムに仕上げている。こうしたこだわり方が伊東屋としての誇りなのである。プレミアムレザーシリーズは、まさにその集大成といえるだろう。
先日、そのプレミアムレザーの製作現場を、実際に見学させていただく機会があった。
プレミアムレザーは、複数の工場でいくつかの工程に分けて作業が進められていく。
今回は、元となる原皮から手帳の大きさに型抜きをする作業に立ち会うことができた。

原皮は非常に大きく、大人一人が寝転んでも余りあるほどであった。
そこから、職人さんが細かく血筋や牛の生前の傷のチェックをおこない、血筋が激しすぎるものや多少でも傷のある部分は使用しないという徹底ぶりだ。

その後、革抜き用の機械にかけ、一枚ずつ抜いていく。
なるべく多くの革が取れるように、抜く位置や方向を細かく調整していた。


こうした厳しい作業の末、出来上がった表紙がこちら。

この後は、工場を変えて表紙に革を貼り、コバに銀箔を貼り、巾着袋などの付属品と合わせ、ようやく店頭へ並ぶわけである。
この工程を見るまでは、「こんな高級なものを1年で使い切るなんてもったいない」と思っていたが、考えが変わった。
これだけの時間と手間をかけて作られているものに、自分の人生を記録できるなんて非常に価値のあることではないだろうか。数年後・数十年後に再び見返すとき、それは何物にも代えがたい宝物になっているにちがいない。
みなさんも、そんな素敵な宝物を手に入れてみてはいかがだろうか。